S.H.Figuarts 仮面ライダーイクサ

S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーイクサ

S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーイクサ



平成仮面ライダー第9作目「仮面ライダーキバ」に登場する仮面ライダーです。
主人公のキバや三号ライダーのサガ、それにダークキバがファンガイアの手によって作られた魔術的な要素の多いライダーなのに対して、このイクサは人間の対ファンガイア組織「素晴らしき青空の会」が作り上げたパワードスーツという純科学ライダーでした。
過去編、現代編双方に登場し、過去編では紅音也、現代編では名護啓介が主な装着者でしたが、装着するのに特殊な体質等が必要ということは一切ないため、両編通じて多くの人物が一時的に変身しました。最も多くの変身者を持ったライダーなのではないでしょうか。
全編通してキバ以上に活躍が多かった上、イクサの存在自体が物語の要として進むことも多くまた主な変身者が双方共に異常に濃いキャラであったため、名実共に「仮面ライダーキバ」のもう一人の主人公ライダー、人によってはキバよりも主人公っぽく見えたと思います。
そのためかはわかりませんが、映画「劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」では、冒頭のライダートーナメントにおいて主人公であるキバを差し置いてスカイライダーと戦っている光景が描かれました。つまり「キバの世界」のイクサではなく、「イクサの世界」の主人公ライダーというわけで、サブライダーとしては破格の扱いでした(クライマックスのライダー大集合には惜しくも登場しませんでしたが……)。
余談ですが、戦闘時によくかかっていた「イクサ変身」はめちゃくちゃかっこいい曲なので必聴です。
続きを読むからどうぞ。


まずは顔のクロスシールドを閉じた、セーブモードから。
現代編でも変身直後はこの形態になり(途中からは省略されていましたが)、過去編では未完成のためこのままで戦っていました。
細身でスタイリッシュにアレンジされることが多いフィギュアーツにしては珍しく、劇中の所謂岡元次郎体型にかなり近いがっちりしたものになっています。




最近顔の造型で色々言われることの多いフィギュアーツですが、放送終了後しばらくしてから出ただけあってこれはかなり似ています。塗装も特に問題はなく、高クオリティです。よく見るとクロスシールドの下にはちゃんとハンティング・グラス(バーストモード時の赤い目)があります。
プロテクトウィンドウ(黒い部分)がバイザーのように見えて、イクサはこの顔が一番好きです。



胸のソルミラーの模様はプリントで表現されていますが、これがずれているものが非常に多かったです。ちょっとずれている程度なら気にしなかったのですが、パッと見てわかるほど左右に大きくずれているものが多く選別に苦労しました。





イクサベルトと左右のフエッスロットも、小さいながらも妥協なくかなり細かいところまで塗装されています。



画像は見にくいですが、足の裏にはよくある版権表示ではなく「193」というモールドがあります。細かい……



可動範囲紹介。
肩と脚はここまで広げることができます。ただ脚はフエッスロットに干渉するので、ポロポロ取れやすくなります。




肘と膝はここまで曲がります。
装甲等がかなり干渉するため、脚を前に出すのは画像くらいが限界です。



足には爪先にも可動箇所があります。




首の可動範囲は狭目で、前後横はこれが限界です。後述する胴体可動があるので、それほど不自由は感じませんが。





胴体の可動はかなり優秀で、腰を捻るようなポーズも可能です。ただ関節がイクサカリバーを持たせたくらいでも傾くほど非常に緩く、瞬着等を用いてもまったく改善しませんでした。
全体的に、脚を前に出せない以外は劇中で見せたポーズを取らせるのにほぼ不自由ない優秀な可動範囲です。



変身直後のポーズ。



「さあかかってくるんだ子犬ちゃん」



ルークが変身した時っぽく。
この話の、長時間装着すると反動で大きな負担がかかるという過去イクサの欠点を活かして、敢えてルークに変身させて暴れさせることで全戦力をぶつけてもまるで敵わなかったルークを倒すのは上手いと思いました。



ハイキック!
御覧のように、こんなポーズでも支えなしで安定して自立します。



イクサを象徴するアイテムである、変身キー兼武器のイクサナックル。
「レ・ディ・ー フィ・ス・ト・オ・ン」に代表される一音ごとに区切るぎこちない電子音声は、今までの発音のいい電子音声アイテムといい差別化ができていたと思います。
変身するためにこれを掌に押し当てるポーズが、変身者ごとに違うのが好きでした。変身前でも光弾を発射する武器として使用可能で、名護さんがよく登場直後にぶっ放してファンガイアを吹っ飛ばしていました。
手のサイズに合わせて、ベルトよりかなり大きく作られています。その分造型、塗装共に良好です。



マルチエレクトロターミナル(左右の出っ張り)やアナライズアイ(丸い部分)も抜かりなく造型、塗装されています。



イクサナックルを外した状態のベルトの差し替えパーツもちゃんと付属しています。



「楽にしてやる」
「イ・ク・サ・ナ・ッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ」

必殺技は、ナックルフエッスルをイクサベルトに挿入してエネルギーを集中したイクサナックルから放つ「ブロウクン・ファング」。基本的に殴りつけるのと同時にエネルギー波を浴びせる技ですが、一度だけ光弾を放ったことがありました。
主に過去イクサが決め技として多用して、多くの強敵(キバと現代イクサが同時にかかっても敵わないマミーレジェンドルガをも)を打ち破りました。現代イクサが使用したのは、劇場版「魔界城の王」にて恵がゆりと同時に放ってメデューサレジェンドルガを倒した一回だけだったはずです。



転ばせたファンガイアを踏みつけながら放ったり、



攻撃されている最中にゼロ距離で放ち起死回生の一撃としたりと色々使い方にバリエーションがあったのが面白かったです。



クロスシールドを開き、ハンティング・グラスが露出することでバーストモードに。
キャストオフのように姿が大きく変わるのではなく、頭が変わるだけなので2モード両方が再現できます。頭どころか目の色が違うだけなのに別売りした某ライジングアルティメットクウキもありましたが。




非常によく似ていたセーブモードと比べると少し違和感がありますが、こちらも出来は非常にいいです。クリアパーツのハンティング・グラスが綺麗です。



現代イクサ専用武器、イクサカリバー。こちらはグリップから大きく突き出したエネルギーマガジンが特徴的なガンモードです。
弾丸は純銀が含まれるエネルギー弾で、ファンガイアに特に有効らしいです。



変身直後にこれを連射して牽制しながら接近、その後カリバーモードに切り替えて斬りかかるのが名護さんの戦闘スタイルでした。




エネルギーマガジンを押し込むことで、ミラーブレード(銀色の鞘の部分)とブラッディエッジ(赤い刃)を押し出してカリバーモードに。
十字架を意識した形が非常にかっこいいイカス武器です。こういうパワーアップ前の武器はパワーアップ後は御役御免になることが多いですが、イクサカリバーはライジングイクサにパワーアップ後もガンモードでイクサライザーとの二丁拳銃や、カリバーモードで近接攻撃手段として活躍していました。最後の戦いである対ビショップ戦も、決まり手はファイナルライジングブラストではなくイクサ・ジャッジメントでしたし。
ブラッディエッジは軟質素材ではないので、最近の暑さでも変形する心配はありません。




適当にポージングを。



「ファンガイア、その命、神に返しなさい」
「イ・ク・サ・カ・リ・バ・ー・ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ」



「ハァァァァァ――」




「フンッ!」




「ハァッ!」
必殺技は、カリバーフエッスルをイクサベルトに挿入することで臨界に達したエネルギーの閃光で相手の目を眩ませ、エネルギーを篭めたイクサカリバーで一刀両断する「イクサ・ジャッジメント」。背景に太陽が出現するという非常に派手な演出と、カリバーフエッスル挿入からのシークエンスのかっこよさで印象に残る技でした。




初回特典(と言いつつ再販版にも普通に付いてきたらしいですが)として、我らが名護さんの有り難き御言葉を刻んだ「名護語録スタンド」が付属します。
「その命、神に返しなさい」
「俺に逆らうな! 俺は常に正しい!」
「俺を誰だか知らないのか!? 俺は名護だぞ!!」
「聞こえないな、もっと大きな声で言いなさい」

の4種類あり、私は上の画像の通りでした。キバに負けて自信喪失して指名手配犯をボコることで自信を取り戻そうとしていたら、あまりにやりすぎて通報されて警察に取り押さえられた時の台詞ですね。
一般的には「神に返しなさい」以外は外れ臭いラインナップですが、私実はこの台詞とそれに対して警官が言った「なんだそれは?」が当時非常にツボにハマったので、嬉しい当たりでした。



「イクササーイズ! 俺は、正しいー!」



「やぁお嬢さん、ベースをやってるんだな。俺のバイオリンと、一晩のデュオセッションを奏でないか?」
「こ、困りますそういうの……」
「困らないさ! すーぐに俺の演奏に夢中になるからなっ」

音也も名護さんも普段の言動がものすごいネタキャラだったので(決めるところでは非常にかっこよく決めるのですが)、どんなポーズをやらせてもそれっぽくなるのが素晴らしいです。イクササーイズ!もナンパもイクサにはお手の物です。
figma神楽亜矢が届いたら、バイオリンをセーブモードに持たせたいですね。



「うおおおお! ハァーッ!」



「うおおおおっ!」
「うがあぁっ……!」



「残念でしたね……俺はもう昔の俺じゃない! その命、神に返しなさい!」



「うらぁぁぁーっ!」
「うがあぁぁぁっ……! う、ぐっ……名護くん……!」



最後に名護さんの劇場版でのかっこいい活躍を再現したところで、フィギュアーツ仮面ライダーイクサのレビューでした。出来のよさには既に定評のあるフィギュアーツですが、その中でも原作に近い体型の再現、過不足なく入った付属品、そして変身者のネタ性を存分にわかっているスタンドとかなり上位に入る出来なのではないかと思います。脚の可動範囲やバーストモードの顔等不満に思うところもないわけではないですが、満足度で言えば非常に満足しました。
発売時は前評判が高かったことと転売屋がこの手の玩具でまで横行しだした時期だったため、入手できなかった人も多かったようで異常な価格高騰を見せていましたが、今は再販されて価格も安定しているので気になる人は今のうちに買うことをお勧めします。